「先生、うちの子、ピアノに向いていないんじゃないでしょうか?」
幼い頃、その子のお母さんがそう言ってたのを覚えています。
4歳から3人グループでピアノを始めたけれど、いつも1番理解力がゆっくり
一緒に来たおともだちがすぐに両手で弾けるのに、なぜ?
私の研究心が大きくなって
毎回のレッスンに工夫をして指導していました。
そして中学3年生。仲間だった2人は退会しましたが
彼女は、ピアノを続ける道を選びました。
暗譜能力はバツグンなので10ページを超える曲でも難なく覚えて弾ける
ようになっていました。
高校3年生になり突然
「学校の音楽の先生になりたい」
そう言った彼女の目は、かつてないほど真剣でした。
私も元中学の音楽科教諭だったので
甘くはないことを話し
「ほんとに頑張れる?他の子が遊んでいる間も勉強出来る?」
たが気持ちが揺らぐことは
ありませんでした。
そこから私たちの猛勉強が始まったのです。
音楽の知識、演奏の技術、受験のための準備。
どれも決して簡単ではなかったけれど、
彼女は諦めなかった。
そして迎えた合格発表の日。
ネットで合格を知った瞬間、彼女は号泣したそうです。
いままでの苦労、悔しさ、努力の日々が一気にあふれ出したのでしょう。
「先生、ありがとうございます。落ちたときの言い訳ばかり考えていました(泣)」
その言葉に、私も胸がいっぱいになりました。
夢を叶えるまでの道のりは決して平坦ではないです。
誰よりも遅かったスタート。誰よりも不器用だった。
でも、あきらめなかった彼女だけが見た景色があります。
これから彼女が、学校の先生なって音楽の楽しさを
子どもたちに伝える日が来るのが楽しみでなりません。
春は、努力した人に必ず訪れますね!
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